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発展の只中で長く将来を見据えて

海外進出のルーツは戦前期にまで遡る、という大林組では、国家規模のプロジェクトを始め、ベトナム国内で豊富な実績をお持ちです。同社がベトナムで本拠地とするホーチミンやその近郊でもまた、社会の発展を感じさせるようなプロジェクトが多々進んでいます。

文化の壁を越えて、工事を進める中でのデジタル活用をすることや、始まって間もないベトナム語によるユーザーサポートへの感想までお話を伺いました。

インタビューご協力:
Obayashi VIETNAM Corporation
笠原 敬太 様(Manager of Mechanical and Electrical Department  画像左から3人目)

スタート間もない現場でのSPIDERPLUS活用とベトナム語サポート

ー本日は工事が進行している間にもかかわらずお時間を割いてくださり、ありがとうございます。
始めに笠原様の役割について、簡単に教えてください。

笠原様(以下、K):私はベトナムで進んでいる工事を複数束ねる立場です。チームのメンバーや、現場に出入りしている協力会社の方々がSPIDERPLUSを実際に活用し、そこから情報を得て進捗状況などを把握します。

ーSPIDERPLUSが使われている現場では、活用が始まってからどのぐらいの時間が経っているのでしょうか。

K:今の時点で3ヶ月ほどです。建設そのものは初期の段階なのですが、杭やスラブなどの工事が始まっています。来年の夏に竣工予定です。

ー現在の現場でSPIDERPLUSを活用することになった経緯をお聞かせください。

K:以前ハノイの現場で使った際、手軽さと直感的に情報を把握することのできる容易さについて、評価が高かったのです。巡回時にSPIDERPLUSがあれば携行物はiPad1つで済みますし、必要な情報を取り出すことも容易です。さらには、施工に関して是正前後を1つの画面で明確に把握できることについても使いやすいという声がありました。

ー進行中の現場は始まったばかりとのことではありますが、既に使われている機能はどのようなものでしょうか。

K:主に写真の機能を活用しています。図面上に現場で撮影した写真を紐付けてクラウドで共有することによって、関係者が進捗状況を把握することができます。

また、私の場合は複数現場を見る立場のため、クラウドで物事が共有されることによって、常に特定の現場に張り付いていなくても、場所を選ばずに現場の進捗状況を把握できることを便利だと感じています。

ー以前お使いになったのとは、異なる場所で新たに活用が進んでいますが、使い方を覚えるための取り組みについてお聞かせください。

K:スパイダープラスの海外チームの皆さんを中心に、勉強会を開いてもらいました。オンラインの開催に加えて現地でもこれまでに複数回開催されています。

ーご参加のチームの皆様からはどのような反響があったのでしょうか。

K:オンラインの勉強会も良いのですが、やはり現地開催のものは、同じ操作を目の前で見ながら実践的に機能を覚えることができる点が好評でした。進行中の現場でも開催を検討しています。

現場では日本人とベトナム人の両方のスタッフが働いています。日本人スタッフは日本語版を、ベトナム人スタッフは英語版を利用しているのですが、操作感やUI設計などは直感的なわかりやすさについて評価が高いです。

ーこの先ベトナムでのオンボーディングがさらに広がりそうですね。
ところで、23年5月から始まったベトナム語サポートについて、現場の皆様はお使いでしょうか。

K:早速活用しています。日本ではユーザーサポートというと電話をかけることが多いと思いますが、ベトナムの場合はテキストプラットフォームを活用するケースがほとんどです。実際にサポートを利用したスタッフたちはその場で問題解決できることを便利と感じていると話しています。

現場で感じるベトナム建設事情とDX推進の価値

ー笠原様はベトナムで、どういった点に文化の違いを感じますか。

K:1つ挙げるとすれば、ベトナムはコミュニケーションが盛んで、そこは日本と異なる点だと思っています。そして、単にコミュニケーションが盛ん、というだけではなく、それが意思決定にも深く関わっていることです。

日本の場合、現場の意思決定は立場が上の人たちが行なって、下で働く人達に対して周知されます。

ベトナムの場合は職位の上下を問わずにそれぞれが意見や問題点、改善提案などを率直に話し、そうしたコミュニケーションを通じて物事が決まっていく傾向があると思います。

ーコミュニケーションがさかんな環境で、SPIDERPLUSを活用することの価値はどういう点にあると思いますか。

K:情報を残すことができる点です。コミュニケーションがさかんな中で、エビデンスを共有することができます。この先工事が進んでいくに従って関わる人数も増えていきます。そういう状況のもと、SPIDERPLUSを介して明確に情報を共有できることの価値は大きくなっていくと思います。

ー今後活用を検討している機能はありますか。

K:検査記録の作成や是正確認など、工事の進展に即した機能の活用を考えています。ベトナムでも、長期的には、建設業従事者数は減少していくだろうと予測されます。

今のうちからDXツールを様々組み合わせることによって、仕事の効率をあげていく取り組みをしていくことはこの先ますます重要になると考えています。

ーありがとうございました。