福岡発、一歩先にいる会社でいるために
福岡を本拠地とする大橋エアシステムでのSPIDERPLUS導入は6年以上の長さを誇ります。
九州地方で早いうちから導入を決めた背景や、近年の建設業が直面する若手人材確保の問題も見据えた取り組みについて、広くお話を伺いました。
お話:
村上真一郎様(取締役 九州支店長、画像右端)
小手川靖様(技術部 統括工事長、画像左端)
原和也様(技術部 主任、画像左から2番目)
辛島巳琴様(技術部、画像中央)
三苫誠二様(技術部 主任、画像右から2番目)
ー本日はお時間を割いてくださり、ありがとうございます。
先日はテレビ放送でも現場の新たな働き方をご紹介くださいましたが、どのような反響がありましたか。
村上様(以下M):思いの外大きな反響がありました。
ちょうど次の月に新卒採用の面接でお会いした方たちからテレビで見たことが志望のさらなる動機づけになったと言われただけではなく、高校時代の同級生からも「見たよ」と連絡をもらったりもしました。
原様(以下H):現場に出入りしている他の業者の方から声をかけてもらったりしましたよね。
一同:福岡では誰もが見ていますからね。
75%が1ヶ月あたり10時間以上を削減!徹夜作業からも解放
ー会社としてもそうですが、一人の人間としても反響を感じる機会があったということですね。
ところで、SPIDERPLUS導入の背景を振り返ってみたいのですが、当時の経緯をお聞かせくださいますか。
小手川様(以下KO):導入したのはもう6年前にさかのぼります。
当時入っていた現場で指定されたのが直接のきっかけになりました。
実は他社のサービスも検討してはいたのですが、現場で他の業者に聞いてみるとSPIDERPLUSのほうが使い勝手に関して評判が良かったのです。
最初は2IDから使い始めて、少しずつ社内浸透を進めて、2年後に全社アンケート調査を行ないました。その結果として効率化、特に時間の削減について当時使用していた半数近くが効果を感じていたことがわかり、全社的な導入に踏み切りました。
ー効率化、特に時間の削減に対する効果が大きかったとのことですが、導入の際も効率化や時間削減は重要課題だったということでしょうか。
KO:そうですね。現場の仕事はやはり何かにつけて手間が多くて時間がかかってしまうので、そこをデジタル活用でどうにかしたかったという考えがありました。
ー全社的な活用浸透を支える仕組みはどのように成り立っていますか。
KO:元々会社の中にデジタル活用支援を請け負っている部門があります。
そこが従来のデジタル導入同様に、SPIDERPLUSの活用についても支える役を負っています。
技術部門では定例の会議があるのですが、時には個別のヒアリングなども行ない、それらの結果が全社規模の月1回の定例会で共有されるようになっています。SPIDERPLUSの導入効果があることについてもそこで共有されています。
ー2023年の夏にまとめ直したアンケート結果では、調査対象の半数近くが時間削減できた、と回答しており、75%ほどが1ヶ月で10時間以上削減できた、と回答しています。
本日現場からいらっしゃった皆様はSPIDERPLUSの活用にどのような効果をお感じですか。
H:帳票化までの手間を削減できたことがとても大きいと感じています。
設備工事は品質に関して要求されることが増えていて、スリーブひとつにしても個々に記録をとらなくてはならないので、記録から報告までをスムーズにできるのはとても重要です。
三笘様(以下MI):指摘管理機能を使うと、スリーブ一つずつに設置したカメラアイコンが、作業の進捗で色を変えていきます。
そうすることによって、どこまで作業が完了しているのかを直感的に把握することができます。
辛島様(以下KA):写真の枚数も画面上に数値で表示されることで、必要な数を撮り終えているかを確認できますし、撮り直しをしなくて済みます。
H:以前は1つずつ図面の上に徹夜してスタンプを押していたのですが、そうする必要がなくなりましたし、SPIDERPLUSになったことによって情報伝達や申し送りがスムーズにできるようになったため作業が属人化することや、それにまつわる困りごともなくなっています。
MI:新人でも業務に入りやすくなっていることもSPIDERPLUS導入前との違いです。
KO:取得する数値の精度の高さも効果のひとつです。
人力で数値を取得するのとは違って、Bluetoothでつながった計測器が正確な数字を残してくれるようになりました。
それによって、職人さんたちの施工精度をさらに高いものにしていくことが、私達にとって新たな課題になっています。
ー操作の習得はスムーズでしたか。
H:デジタル機器の操作に慣れた若い世代を中心に、当たり前のように使う人が増えているという印象があります。
KA:入社してほどなくSPIDERPLUSが導入されたのですが、初期から使っているので、タブレットで仕事をしていくことがとても自然なことになったという印象があります。
全社的な仕組みの変更で新しい当たり前を築く
ーここからさらに活用を進めるために、考えている取り組みはありますか。
KO:ベテラン世代を中心に、慣れた仕事の仕方を優先しがちな傾向がまだ残っています。
そこで、現場の仕事の仕方は基本的にSPIDERPLUSのみに変える予定があります。
ー会社として、仕事の仕方そのものを変えていくということでしょうか。
M:そうです。何かを習得するには手間がかかることが避けられません。
ただ、そこで獲得した知識によって作業品質をひとつずつあげていくことができれば、それは現場全体でも仕事の質を大きくあげていくことに直結するし、それが積み重なることによって、会社全体として仕事の仕方の新たな資産を築くことになるはずです。
デジタル活用を進めていくことの意義は、効率化以外にもこうした点にあると思っています。
KO:仕組みそのものを変えるために、現場を運営する立場の人たちがその価値をきちんと理解している必要があります。
だからこそ、現場からあがってくる声を私達は聞く必要があると考えています。
M:これまでにも、仕組み自体を変えることによって、仕事の仕方やその結果を変えてきた歴史があります。
建設業界は2024年の4月に働き方改革の法適用を予定していますが、それまでの猶予期間の間に、少し無理をしてでも必要な手間や投資を惜しまずに、間に合うように取り組まなくてはいけないと考えています。
そのためにも、まずは目の前のSPIDERPLUS活用を広げていきたいのです。
ー身の引き締まるようなお言葉です。
ところで、冒頭にテレビ出演のことを伺いましたが、2024年4月以降の最重要課題は何だと見なしていらっしゃいますか。
M:人です。建設業界全体が人材の獲得にとても難儀しています。
建設業の仕事は一人前になるまでに長い時間を要するものです。なるべく素直で前向きで諦めない人に長く活躍してもらいたいと考えています。
そのためにもメディア出演などを通じて、私達会社の取り組みや具体的な仕事の仕方を知ってもらい、建設業に対するイメージを向上させて、人材獲得の裾野を広げていかなくてはならないのです。
ー本日インタビューに参加してくださっている若手社員の皆さんが当たり前のようにSPIDERPLUSを活用していることも、長期的な人の戦略のうちにはいるでしょうか。
M:そうですね。彼らの世代がSPIDERPLUS活用で効率的に働き、自分の時間に使える割合を増やしていく。
そういうことが当たり前のことになっていくことで、会社全体としても、長期的な価値の形成を見据えていくことができると思います。
現在はBIMの活用についても模索している最中です。
いずれはデジタル活用について、統一したものを持って周りを引っ張っていくくらいになりたいと思っています。
福岡に本社がある関係でデジタル活用についても、「福岡発」のようにこれまでやってまいりましたが、地域の中で常に一歩先にいる会社でありたいし、そのためにも各自に意識の涵養をしていきたいです。