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【インタビュー】目標は「現状維持」、だからまずはやってみる。 札幌のサブコンが「当たり前」にデジタル化を推進できる理由とは?

株式会社ダンテックは、北海道札幌市を拠点として事業を展開している空調衛生設備業者だ。
今回はSPIDERPLUS導入など様々なチャレンジを行っている同社の取り組みについて、常務取締役の廣瀨隆大氏に話を聞いた。

お話:株式会社ダンテック 常務取締役 廣瀨 隆大様

創業時から続く文化を大切に

ダンテックは企業理念に「社員を幸せにする」を掲げ、入社時に私用でも使える車の貸与や、自社株の付与などを行っている。
「社員想い」を掲げる企業は数あれど、ここまでやりきっている会社は中々ない。
今回インタビューに応じてくれた廣瀬氏は入社して30年以上だが、入社当初からこの企業文化は変わっておらず、同社は長年「社員の働きやすさ」に重きを置いているという。

「社員の働きやすさ」を維持するために

そんな社員の働きやすさを大切にする同社は、SPIDERPLUSをはじめとしたデジタルツール導入による業務効率化を積極的に行っている。
実際に同社が社員の働き方を良くするために行っている取り組みは、大きく分けて以下の3つだという。

デジタルツールを導入、全社的な業務効率化を推進

SPIDERPLUSをはじめ、請求管理やスケジュール管理などのデジタルツールの導入を積極的に行っている。

欠員をすぐにフォローできる体制を整える

公共事業や業界慣習により、どうしても休暇を設けることが難しいタイミングはあるが、安定的に週休2日を確保できるように社内の体制をコントロールしている。
具体的には通常3名で回る現場に4名体制で臨むなどの調整をしているという。

余裕をもって施工ができる現場を選定して受注

あくまで現場と社員の働き方を最優先にするため、工期や人員数に余裕をもった施工ができない案件を受けないようにしている。

 

上記のような取り組みを行う背景として、廣瀬氏は以下のように語る。

 

「2024年の働き方改革関連法の施行など、業界も徐々に変わってきてはいます。しかし、まだまだ業界全体が考え方を改めないといけない。
例を挙げると、残業や休日稼働が前提のタイトな工期の案件は、まだまだ世の中にたくさんあります。
だからこそ、社員の働きやすさを維持するために、業界任せではなく自社の取り組みによって対応していかなければならないと考えています」。

 

目標は「現状維持」?

以上のように、社員の働き方向上のため様々な取り組みを行っている同社の経営目標を伺うと、意外にも「現状維持」という回答が返ってきた。
「現状維持」は一見ありふれた目標だが、これだけの改革を進めている同社がそれを掲げるのはなぜだろうか。
この疑問を廣瀬氏にぶつけると、以下のような回答が返ってきた。

 

「現状維持のためには、当たり前に新しい取り組みをしないといけないと考えています。
社会が変わっているのに会社が何も変わらないと、従業員に同じレベルのものを提供し続けられないからです。
当社にとって重要なのは、これまで大切にしてきた企業文化を失わないことです」。

 

廣瀬氏いわく、”現状維持”とは決して”現状のまま変化をしない”という意味ではない。
むしろ、これまで大切にしてきた企業文化を守り続けるためには、自社の変化なしでは成し遂げられないという経営意志を示している。

「まずはやってみよう」の精神」

また、同社は建設業の働き方改革の必要性が叫ばれる以前から、新しいことにチャレンジする社風があったという。

「当社では、何か新しいことを始めようと思ったとき、まずはやってみよう、と始めることが多いです。
だめだったら使うのをやめれば良いだけ。特別なことをやっているという感覚はないです。
例えば私が入社した30年以上前にも、北海道の企業としてはいち早くCADを導入しました。
数名の社員が東京で研修を受け、CAD専任の部署として稼働していました。当時としてはかなり高額なPCが社内に並んでいました」。

 

同社がデジタル化をはじめとした改革を推進できる理由は、根底に社員の働きやすさを最優先にする企業文化があること。
そして実現段階における『まずはやってみる』精神が根付いているからだ。

利があればやるべき。デジタルツール導入に反発の声はなかった

「SPIDERPLUSの紹介をしてもらった後、社員にどう思うか聞いてみました。
すると”興味がある、やってみたい”とのことだったので、導入に踏みきりました」。

 

企業が新たなデジタルツールを導入する際、社内からマイナスな声が上がるのはよくあることだが、同社では反発意見はほとんど上がらなかったという。

 

「当社は社内で意見がぶつかることはありません。
お互いに利があれば認める、という風土が存在するためです。費用対効果の議論にもなりませんでした」。

若手人材の確保が今後の課題

「建設業は実は意外と進んでいる」と思ってもらいたい

現状「ぶつかっている壁は特にない」という同社においても、若手人材の確保は今後の課題になりうるという。
建築関係の学生の母数が減っており、市場全体で若手が不足しているためだ。
今後はさらに限られた人数から人材を採用するため、他社との競争は激化すると廣瀬氏は予測している。

SPIDERPLUSが貢献できること

同社は知名度では大手には及ばないものの、学生に面接に来てもらえれば良い印象を持ってもらえることが多い。
取り組みの1つとして、インターン生にSPIDERPLUSを使って仕事体験をしてもらうことを計画中だ。

 

「アナログな業界だと思われがちだが”実は意外と進んでいる”と思ってもらうことで、まずは会社に興味をもってもらいたいですね」。

 

「業界全体でもっとチャレンジしてみても良い」

同社では社内向けに、スキルに合わせた評価制度の改革も進めている。狙いは若手の育成とスキルアップだ。
デジタル化を推進していくことに対して廣瀬氏は「特別なことをしている訳ではありません」と語る。その上で、

 

「同業他社もどんどん新しいことにチャレンジしてみても良いのではないでしょうか。私たちが持っている知見を他の会社にも伝えていく…そんな会社にしていきたいです。個人的には、無報酬でも良いからやっていきたいですね」。 

 

人材不足をはじめ、多くの課題を抱える建設業界においては、変化をしないことこそがリスクになっている。
「現状維持」のために常に新しいことにチャレンジする同社のような考え方は、今後の建設業界で広まっていくのではないだろうか。