ベトナムの建設現場で進む、ゼネコン・サブコン連携

ベトナム、ホーチミン郊外では、大成建設の現地法人であるビナタ・インターナショナルの大型工場の建設現場において、ゼネコンとサブコンがSPIDERPLUSを介して情報連携をしながら工事を進めています。
現地スタッフたちがSPIDERPLUSを手に日々活躍中です。
SPIDERPLUSの使用感や現地スタッフの操作習得方法、SPIDERPLUSを介した情報連携による効率化の先に、本質的に目指すものとは一体何かをお聞きいたしました。
お話:
・ビナタ・インターナショナル(文中ではV)
中西邦夫 様、Nguyễn Mạnh Tứ(文中トゥ)様、Trần Hoàng Tuấn様、Trần Xuân Bách様、Nông Tấn Đức様
・ユアテックベトナム(電気工事、文中ではY)
長谷川聡 様、Hồ Ngọc Thắng様、Nguyễn Huu Tho(文中トウ)様、Tôn Thọ Nhật Trường様
・住電ベトナム(衛生工事、文中ではS)
Vũ Quang Thành(文中タイ)様、Đặng Xuân Trường様
・大気社ベトナム(空調工事、文中ではT)
Đinh Văn Quyền様、Phan Công Thắng(文中タン)様
指摘管理機能を活用して情報伝達を効率的に、書式の統一によるルールと認識の共通化も
本日はお時間を割いてくださり、ありがとうございます。
こちらの現場では皆様がSPIDERPLUSをお使いとのことですが、役割分担についてお聞かせください。

こちらの現場では電気工事をユアテックベトナム、衛生工事は住電ベトナム、空調工事を大気社ベトナムが担当しています。
当社は設備全般1名、電気・衛生・空調の各工事に1名ずつのスタッフで工事管理を行っています。
SPIDERPLUSを活用した設備工事の取りまとめについて、具体的な方法をお聞かせください。

この現場では指摘管理機能を情報共有の中心に据えています。
各社から工事についての施工対応状況が報告されると、当社のスタッフたちがそれぞれの担当分野ごとにチェックをし、是正対応が必要なものについて指摘管理機能を介してフィードバックを行います。
フィードバックを受けた各社は、是正を行い指摘管理機能を活用してその旨を報告する、という方法です。

SPIDERPLUSで情報が共有されると、一斉に指摘事項を確認します。
作業開始までの早さが紙をベースにしていた頃とは全く違います。
指摘管理機能を活用して効率的にとりまとめる上で、独自に取り組んだことはありますか。

帳票の書式を統一することです。
所定の書式と機能によって、現場内で一定のルールを定めることができ、共通の認識を持つことが可能になります。
設備工事は専門性の高い検査も多いですが、SPIDERPLUSが有効だと感じることはありますか。

先ほど挙げた帳票の書式統一化、保存、検査業務のルール化です。
そのために承認機能の活用も行っています。
クラウド上に資料を共有することができますから、仕様書、設計図、要領書、機器図などを格納しておくと、紙の資料を探すような手間もかからないため、各種資料を確認する際は早期対応が可能になります。
Todoリストやスケジュールと、SPIDERPLUSを介して保存した情報を連携・共有させることによって、現地スタッフを含めた時間に対する意識付けも可能です。
SPIDERPLUSの特徴を活かして、業務の効率化と品質向上を図り、全体の生産性を向上させることを目指しています。
「即座に確認できて、帳票作成が容易」現地スタッフが語る使用感
打ち合わせでもSPIDERPLUSを活用している
こちらの現場で情報の取りまとめを行っているのはベトナム人スタッフの皆様とお聞きしています。
SPIDERPLUSの使用感について率直なご意見をお聞かせください。

紙媒体をベースにした仕事に比べると、タブレット1つ持っていれば情報の持ち運びができて、とても楽です。
現場の状況の把握についても、その場で撮影した写真が紐づいた状態でクラウドサーバ上に共有されるので、とても簡単です。
指摘管理機能では、是正前後の状態を同じ画面内で写真つきで見比べることができます。
各社から指摘管理機能を介して報告された内容を元に、各自の担当内容や完了までの予定を調整していくのに役立てています。

メンバーが進捗状況を報告した際、すぐに確認することができます。
また、保存済みの写真をサーバから必要な時に取り出す際も、あらかじめ設定したフォルダを探せばすぐにたどり着くことができます。
施工管理の状況がすぐにわかるため、関係者と交渉をするなどの次の行動を素早く進めることができます。

図面の確認や帳票のカスタマイズにSPIDERPLUSを活用しました。
1,000枚ほどある写真も、すぐに帳票上に表示されます。
カメラで撮影した画像を手作業で貼り付けていくことと比べると、かかる時間が全く違います。

SPIDERPLUSでは、図面以外に資料類も保管しておくことができます。
現場で情報が更新された際にも、SPIDERPLUS内ですぐに確認することができるのでとても楽です。
2023年よりベトナム語のユーザーサポートを行っていますが、活用することはありますか。

ユーザーサポートはよく活用しています。チャットですぐに問い合わせることができます。
また、SPIDERPLUSの使い方についての研修会にも参加しました。
その後すぐにチャットグループを作成し、不明点を即座に解決できるようにしています。
私はこの現場の中ではSPIDERPLUSの活用を覚えるのがかなり早い方だったと認識しています。
私自身の優秀さももちろんですが(笑)、画面設計がわかりやすいことも理由のひとつです。
指摘管理機能の使い方について、同僚たちから質問されることも多いです。
頼もしいですね。現地スタッフの習得の早さを傍らでご覧になって、どんなことを感じていますか。

ベトナムではデジタルツールに対する興味が非常に高く、知識と経験を積極的に吸収しようとする意欲的なスタッフが多いように思います。
また、新しいツールを使うことが他者との差別化や自信につながる傾向もあると思います。
現場にタブレットを持っていくのはカッコいいという捉え方も多いです。
特にトゥは、この現場ではリーダー的な立場ということもあり責任感が強く、それもまた習得の早さの一因ではないかと思っています。
効率化によって目指す品質の向上と安全性の確保
ところで、ベトナムの建設現場で業務効率化が寄与するものとは何でしょうか。

業務を改善していくことです。
日本の場合は建設業にも2024年4月から残業時間の上限規制が法適用され、労働時間短縮のためにデジタルツールによる業務効率化が促進されたと思います。
ベトナムでは、ワーク・ライフ・バランスはこれからのテーマです。
建設現場では大学を卒業して間もない若い人も少なくないですが、共通するのは成長意欲が高いことです。
大学卒業時点で備えている知識の量だけを比べるならば、日本のほうが平均的に上回っていると思います。
その分、現場に出て働き始めてからの自己研鑽の取り組みはベトナムのほうが圧倒的に上回っています。
効率化により発生した時間を割り当てる先は、品質に関わることでしょうか。

そうですね。現場の品質や安全に関わることは、まだまだ人の目で見て確認するべきことが多々あります。
この現場は間もなく引き渡しの予定です。
引き渡し直前にお客様と確認する際にSPIDERPLUSを活用しました。
現場では工種ごとに多くの人が関わって進めていきますが、引き渡し後もお客様と建物との関わりは続きます。
建物の安全や品質に関わるという本質的なコミュニケーションに時間を割いていくことができるよう、デジタルツールの活用によって業務を改善し続けることが重要と考えています。