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除雪現場での活用例〜SPIDERPLUSで正確性と効率性の課題を解決!

世界有数の雪国である日本で、冬の夜遅い時間に街をゆく除雪車は季節の風物詩というだけではなく、往来の確保や怪我の防止など、社会活動維持に不可欠です。

札幌を拠点に除雪現場でSPIDERPLUS for Civilを活用する開北工業様に、作業の実情についてお話を伺いました。

お話 開北工業株式会社

任田 礼二 様(代表取締役)
任田 大希 様(総務管理部)

意外と知られていない除雪作業の実際

夜間の除雪作業中の例(提供:開北工業様)

本日はお時間をいただき、ありがとうございます。はじめに、貴社の事業について簡単に教えてください。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
私たちは主に道路や河川など公共インフラの維持管理のための土木工事を中心に事業を行っています。
中でも除雪事業はかなりの部分を占めていて、冬季には幸いに割ける労力いっぱいといった量の仕事を同じ地域の事業者と協力して受注しています。除雪作業を行うための機械も自社で所有しています。

除雪車が道を走って行う除雪は雪国出身でない方にはあまり馴染みのないものと想像します。どのようなことが行われているのかを説明していただけますか。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
車道の除雪の場合、大きく3つに分かれて降り積もった雪を道路の脇に寄せる「新雪の除雪」、路面の凹凸やわだちを削って平らにする「路面整正」、道路脇の雪を積み上げて走行車線の幅を広げる「拡幅除雪」です。
大型の除雪車には安全のために2人が乗って作業をしますが、その際に作業内容を記録するため1人が現場写真の撮影を行います。
以前はデジタルカメラを使って撮影し、作業員が事務所に報告内容を届けていました。
任田 大希 様
任田 大希 様
ちなみに写真撮影は現場毎に除雪前、除雪中、除雪後の3回行います。
除雪前、除雪後の写真については同じ場所、同じ角度で撮影しなければなりませんが深夜帯での撮影且つ入り組んだ町内会の除雪の場合、どの現場でどの箇所で撮影した写真なのかわからなくなってしまうことも多々ありました。

夜間の除雪作業中の例(提供:開北工業様)

夜間に行うことの多い除雪の記録写真撮影というと、建設現場とはまた違った判別の難しさがありそうですね。 SPIDERPLUS導入前の課題について教えてください。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
情報の正確性と、除雪作業から報告までの効率性の問題がありました。
デジタルカメラからデータを取り出してみると、どの写真がどの現場で撮影されたものなのか、一目で判別するのはものすごく困難です。

除雪の出来形記録の例(提供:開北工業様)

任田 礼二 様
任田 礼二 様
また、報告が完結するまでの時間については、除雪作業と内勤者での活動時間帯の違いの問題がありました。
除雪作業は夜間に行いますが、内勤者が報告書をまとめる作業は昼の間に行います。
カメラの台数には限りがありますし、作業者がデータを事務所に持ってくるまでには時間がかかります。
そこから写真データを取り出して内容を判別し、報告用のデータとして整理して提出するまでにかなりの時間を要していました。

SPIDERPLUSで業務の手間を8割削減、写真に忙殺されるのではなく除雪そのものにエネルギーを割けるように

SPIDERPLUS導入のきっかけを教えてください

任田 礼二 様
任田 礼二 様
当社は小さい会社でIT活用やデジタル化はずいぶんと遅れていたのですが、東京にいる兄にリモートワークで業務を支援してもらっていました。
兄の職場で以前使ったことのあるSPIDERPLUSが除雪事業の現場で使えるのではないか?という提案があり、試しに導入たことがきっかけです。

SPIDERPLUS導入の決定打となったのは情報の正確性担保と、報告書作成の効率の2点でしょうか。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
そうですね。情報の正確性については、SPIDERPLUS for Civilには写真データの正確性を担保する機能が主に2つあります。
1つはGPS機能で、どこで撮影したのかが明確に記録されます。
もう1つは電子黒板機能です。
除雪前と除雪後の写真撮影では、以前は(物理)黒板を使っていました。
現在は撮影場所と作業の状態を電子黒板に入れた状態で撮影しています。
これらによって、SPIDERPLUS導入前に抱えていた「どこで撮った写真か分からない」ことや、そのために費やしていた時間から解放されました。

SPIDERPLUSを活用した除排雪の例(提供:開北工業様)

任田 礼二 様
任田 礼二 様
効率性の問題を大きく解決したのはクラウドサーバでの情報共有ができることです。
導入前にしていたように、除雪作業と写真撮影、事務所で報告書を作成、と除雪から報告までが分断されることなく、撮影した写真はリアルタイムにGPSデータつきでクラウドに共有されます。
また、報告書の作成も、共有された写真を含んだExcelの帳票ファイルをボタン1つで生成することができるため、事務所にデータを受け渡しに行くことも、貼り付け作業も必要なくなりました。
除雪と撮影をしているその時点で報告書作成までを現場で完結させられるようになったのです。

SPIDERPLUSを導入したことによって、除雪作業から報告までが現場で完結し、大きく効率化されたのですね。

任田 大希 様
任田 大希 様
そうですね。 作業全体にかかっていた時間を考えると8割くらいは削減できていると思います。
排雪作業が終わってから確認する時間が無くなりました。
また、夜間の現場が多いことについては、写真内容の判定も非常に楽になりました。
それから、図面データに撮影箇所をあらかじめプロットできるため、作業員の撮影し忘れなど、ヒューマンエラーも削減できたように思います。
任田 礼二 様
任田 礼二 様
私たちの仕事はやはり除雪そのものです。
仕事内容のエビデンスとして写真撮影は重要ですが、写真にまつわることで忙殺されるのではなく、あくまで除雪それ自体をコア業務としてそこにエネルギーや時間をできるだけ割くことが本質だと思います。
任田 大希 様
任田 大希 様
SPIDERPLUSを導入してもう1つメリットがあります。
それは作業担当者が急遽変更になる場合でも情報の引き継ぎがスムーズなことです。
また、SPIDERPLUSの導入に伴って現場の持ち物がタブレットだけになったことを利用して、チャットのアプリを同じタブレットに入れて、作業にあたっている間の情報共有を補えるようにもなりました。

建設業界同様の課題とDXの展望

お話を伺っていると、除雪の現場をとりまく課題は建設現場と似ていることが多いように感じます。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
建設業同様、就業者の高齢化や人手不足、デジタル活用の伸びしろの大きさなどの課題があります。
特に、機械の運転士の不足は深刻です。
こうした現状を鑑みるに、DXによる効率化の意義はとても大きいと感じます。

DXを進めることによって、この先どんなことを本質的に目指したいですか。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
もっと便利に仕事ができることです。
デジタルツールを特に初めて導入する際、使いこなして運用できるだろうかということを誰もが不安に感じると思います。
SPIDERPLUSを実際に使ってみるととても便利だということがわかるはずです。
除雪も含めて土木の場合は仕事の範囲が物理的に広く、「どこで」行った作業なのかがわかることはとても重要です。
SPIDERPLUSには仕事で重要なことを補ってくれる機能が揃っているため、便利さのもとでコア業務に時間やエネルギーを割くことができるようになります。

SPIDERPLUSの活用について、今後の展望をお聞かせください。

任田 礼二 様
任田 礼二 様
除雪事業でのさらなる効率化と、除雪以外の業務での活用です。 除雪事業はJVで行っています。
作業をする側とJVとが、例えば同じようにSPIDERPLUSを活用し、SPIDERPLUSを介して情報共有ができるようになると、地域全体でかなり大きく効率化できるはずです。
除排雪業務以外でも導入を考えています。
道路補修管理や施設の維持管理などです。
除雪は冬季に行いますが、それ以外の季節に行う様々な土木作業へも適用拡大を図ったり、SPIDERPLUSを介して一般市民も巻き込んだプラットフォームのように活用していくことができると、地域の維持管理を効率よく、安定して行うことができるのではないかと考えています。

ありがとうございました。