写真の情報を補足できるSPIDERPLUSで厳しい環境下でも安全に効率よく働く
人や車が行き交う道路や橋梁などの社会基盤は、私たちの生活にはかかせないものであり、安全で、安定した通行を確保するには維持管理が不可欠です。
道路防災を主要事業のひとつとして展開されている東京コンサルタンツ様に、日常的な活動から緊急的な対応に至るまで、SPIDERPLUS for Civilの活用事情についてお話を伺いました。
お話 東京コンサルタンツ株式会社
竹田正司 様(地質防災部長)
高口 理 様(地質防災部係長)
坂本和也 様(地質防災部)
本日はお時間を割いてくださり、ありがとうございます。
はじめに皆様の役割について教えて下さい。
道路沿いの斜面などで崩壊などの予兆がないか定期的に現地に行って点検をおこなったり,変状があれば記録して管理者に報告したりしています。
また,災害発生時には被災した状況の報告、対策の提案、復旧のための調査や設計をしています。
矢印アイコンやメモ。写真の情報を伝えるための補足手段
SPIDERPLUSをどのように活用しているかお聞かせください。
例えば道路に面した斜面の崩落などで調査の依頼があったときに、被災の位置、規模や写真をクラウドにアップロードし、社内と現場で速やかに情報を共有します。
その内容をもとに応急措置の方針や、その後の監視など具体的な対応を検討します。
日常的な維持管理でも同様ですが、現場では写真をたくさん撮ります。
例えば、進行性がある危険な変状などは確実に記録するために遠景と近景、細部の写真など1箇所で何カットも写真を撮りますし、手ぶれ・ピンボケを避けるため1カットで数枚撮影したりします。
SPIDERPLUSはタブレットで撮影した写真を図面上のカメラアイコンに紐付けてたくさん保管できるので、帰社してからの整理が簡単にできます。
SPIDERPLUSでは、図面にプロットしたカメラアイコンと写真がリンクしているので、そのようなことがありません。
また、カメラアイコンに矢印アイコンがつくことで、どの位置でどの向きに撮ったものかが誰の目にも明確になります。
さらに、撮影した写真にメモを添えることができます。
平常時と異なる点や写真の中で注目してほしい箇所、亀裂幅など現場で計測した値など、情報を補ったりメモしたりすることができます。
例えば数値計測をした箇所、地下水位を観測した箇所、特に注意したい変状箇所など、複数の写真が紐づいている中でも必要な写真をすぐに探すことができます。
現場の状況を素早く記録して情報共有し応急措置など対応を考え提案するのです。
特に災害現場では時間との勝負になります。
応急措置が一段落したら、しばらく監視を継続することになりますが、その際もSPIDERPLUSを活用して当時の状況を見返したり、追加で記録したりしています。
能登半島地震発生現場で感じた、ペーパーレス化のメリット
2024年の初めに発生した能登半島地震の際もSPIDERPLUSを活用したのでしょうか。
道路の維持管理では道路管理図や道路台帳附図などを用いますが、道路延長が長いと図面枚数が膨大になります。
屋外では雨や雪が降っている場所で図面を広げなければいけないこともありますし、束になった大量の図面から必要な情報を探し当てるのも大変です。
過去には現場で尺度の大きな図面が必要になり、手持ちの図面で足りず、事務所から紙の図面を持ってきてもらうようにお願いしたり、拡大コピーできる場所を探し回ったりしたこともありました。
震災発生地域の例を挙げると石川県内で国が管理する能越自動車道は七尾、穴水や輪島など管理延長が25km以上に及びますが、あらかじめSPIDERPLUS内に図面を登録しておいたことで、現場では素早く対応することができました。
自治体などの道路管理者も導入すれば、膨大な図面を持ち歩く必要もありませんし、日常のパトロール時に気付いた点など手軽に記録し、職員間や工事業者などと情報共有できてスムーズな措置に繋げられると思います。
通信圏外や不安定な足場…厳しい環境下で安全に効率よく働く工夫
都市からだいぶ離れて通信環境に乏しいことや、足場の状況もかなり厳しい現場では、SPIDERPLUSの特徴や機能が皆様の働きやすさにつながることもありますか。
特に今回の能登半島地震では通信インフラの被災も大きく、発災直後は点検箇所のほとんどが通信圏外となる場面もありました。
そのような場所ではデバイスが通信回線を頻繁に探すため動作が重くなってしまうことがありますが、SPIDERPLUSはオフラインでも使うことができるので、安定して作業ができました。
点検時は敢えてオフラインの状態にしてどんどん記録し、通信環境の安定したところに移ったタイミングでクラウドへアップロードして報告するようにしています。
SPIDERPLUSの導入前であれば、A3サイズに印刷した図面を画板に挟み、落とさないようにリュックサックに差し込んで移動し、足場が悪い状況で画板を取り出して書き込むことにストレスを感じていました。
SPIDERPLUSならば肩に下げたタブレット一つで済むので身軽ですし、移動の最中に図面がリュックから落ちていく心配もありません。
作業環境の例。画像だけでは何を記録したのか、直観的に把握するのは困難である。
写真に添付するメモはペンタブレットと音声入力のどちらを使うことが多いですか。
音声入力で先に情報を入れて、誤変換をペンで書き直すことが多いです。
かといって入力のためにグローブを外したり着けたりすることを繰り返すと、思わぬ怪我に繋がりかねません。
作業性と安全性を考えるとペンが必要だと感じています。
帳票作成機能を普段の業務で活用することはありますか。
SPIDERPLUS導入前に活用していたツールでは、写真と位置だけをお客様に共有していたのですが、それだけでは伝わらない状況が多いです。
SPIDERPLUSならメモや写真に書き込み説明なども加えた状態で帳票を作成することができますので、補足説明がついた状態のものを共有することができるようになりました。
現場完結の作業で情報の鮮度を保ってわかりやすく〜DXで本質的に目指したいこと
今後、SPIDERPLUSの活用でどのようなことを目指していきたいですか。
ありがとうございました。
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