• 空調衛生設備
  • ~300名
  • 東京都

時間とコストの両方で効果を実感、導入2年弱で全従業員数の過半数が活用

往時の江戸情緒を随所に残す東京、深川の地を本拠地とする櫻井工業様は2019年からSPIDERPLUSをお使いです。 テスト導入で時間・コストの両面でメリットを見出すと、時をほぼ同じくして会社として働き方改革を目指す「スマートワークプロジェクト」が立ち上がります。こうした機運のもと一気に社内導入が拡がり、2021年6月時点では全従業員数の過半数がご活用するまでになりました。導入当初の課題から、設備業の立場で明確に見据える現場の課題、現場DXの展望まで、広く伺いました。

※インタビューはマスク着用で行なわれました。撮影時のみマスクを外していただきました。

 

携行物の多さ、働き方改革―導入前の課題

東京支店 工事本部 工事部 高柳光一 様(文中ではT)、
平本晃一朗 様(文中ではH)

・SPIDERPLUSを知ったきっかけは?
T:当時入っていた現場で他のサブコンが使っているのを見ることがありました。

・その時、関心を惹いたのはどんな点でしたか?
T:現場で写真を撮影し、黒板を作らなくてよい(雛形で電子入力できる)こと、図面をペーパーレス化できて、メモを残したり引き継いだりもできることに魅力を感じました。もっと知りたくなってウェブサイトを見てみると、ちょうど気になっていた「働き方改革」などに役立てられるのではないだろうか、と思うようになり、さらに興味を持つことになりました。

・2018年頃は建設業のクラウド需要も進みましたが、当時他社サービスの利用は?
T:会社全体として特定のものを使ってはいませんでした。グループ業務においては、それぞれの現場で個々人の裁量のもとツールを使っていることはありました。

・その当時はどんな課題があったのでしょう?
T:現場で持つ荷物が多かったことです。具体的には紙図面と黒板の2つ。まずは大量の紙図面をいつも持ち歩いていました。紙なので破けたりすることもあれば、なくしてしまったり、雨が降ればメモ書きした字が消えることだってあります。また、黒板も、工事の種類によっては黒板に見立てた紙にラミネートを貼るなど(このためにラミネーターを持参)、いわば「疑似黒板」にすることで荷物をへらす努力はしてはいました。ただし実際になくすことはできなかったのです。

 

導入開始。すぐに見出した効果とは

・SPIDERPLUSを使いはじめた時の状況について詳しくお聞かせください
T:ほぼ同時期に2つ現場で使ってみました。どちらの現場でも先ほど挙げた「図面と写真」が大きな課題です。
H:大きな変化の1つは携行物が減ったことです。現場にはタブレット1枚だけで、身軽に行けるようになりました。

T:SPIDERPLUSには電子黒板機能があるため、疑似黒板が要らなくなりました。それによってラミネーターも不要になりました。 使いなれるに従って、写真の整理についても大幅な時間削減効果を感じるようになりました。導入以前ならばデジタルカメラから画像ファイルを取り込んで、Excelファイルに画像を挿入、サイズの調整、などをやっていました。その作業だけで1〜2時間かかるなども珍しくなかったので、Excelでマクロを組むなど、時間短縮のために工夫はしていました。SPIDERPLUSは写真のフォルダが分けられるので黒板の雛形をチェックして必要に応じて一部文字修正するだけで写真整理は済みます。

現場で設計や業者と打ち合わせをする際は、紙の資料を毎回準備する必要もなくなり、ペーパーレスでできるようになりました。設備業の仕事は現場業務に加えて打ち合わせも多いです。現地の写真や打ち合わせ記録をSPIDERPLUSに入れてそこから議事録に反映する、といった作業も効率よく行なうことができるようになりました。以前はA1図面を大量に持ってメモをして、あとからそれを探す、という手間がつきものだったのです。

H:是正事項を渡すための作業も効率よくできるようになりました。SPIDERPLUS導入以前であれば写真を撮って、取り込んで、ドキュメントをまとめてそれを印刷して、など、複数の作業を経て専門工事業の方や職人さんにお渡ししていました。SPIDERPLUSならばそうした段取りが不要になり、必要箇所を印刷するだけで是正事項を伝達できるようになりました。

 

導入から社内浸透へ

・櫻井工業様は勉強会や操作説明会を積極的に活用しておいでですね。
T:施工管理や現場の作業に人の出入りがあっても仕事をスムーズにすすめていけるよう、勉強会や操作説明会を活用しています。 オンラインで定期的に開催されている勉強化は操作方法を覚えるのに良いと思います。
H:現場で開催の場合だと、現場ごとの事情に沿って浮かんだ疑問点や、各個人が課題に感じることをその場で聞くことができます。この点はオンライン開催に勝っていると思っています。

T:それぞれの良いところを取り込んで、状況に合わせて習熟を深めていくことには会社全体としてもメリットがあると考えています。

・2年弱で一気に社内浸透が進みました。最初から大々的に活用の想定だったのですか?
T:現場のテスト導入でメリットがあることを確認したし、疑う余地もありませんでした。ちょうど「スマートワークプロジェクト」が会社でも始まることになりました。ICT活用などで業務の効率化、残業削減などを目指した取組です。こうした機運のもと、一気に浸透をはかることになりました。 SPIDERPLUSの活用による時間改善の検証や、ペーパーレス化による事務経費などのコストを削減できるなど、数的メリットがあると社内で理解を得られたことは大きかったです。

 

SPIDERPLUS PARTNERのテスト導入で見据える現場全体のDX

・櫻井工業様ではSPIDERPLUS PARTNERのテスト導入も予定されていますね。
T:職人さんとのやりとりでは紙がまだまだ必要なことが多いです。ペーパーレスのメリットを感じているのは現場監督とそれ以上の階層にとどまっていると見ています。
H:専門業者との確認の際は、紙を基本にしている方が多いのでこちらも合わせることが大半です。図面に手で書き込むということが習慣化して久しい方も。伝達事項がある時は図面の該当箇所を印刷して渡しています。
T:職人層にもDXの波を拡げていくことができれば、現場全体でのスマート化にとても大きな可能性が見えてくるはずです。

・ところで、タブレット操作の慣れについて現場では実際どのような状況でしょう。
T:この辺は人によって様々です。70歳を過ぎている人でもITリテラシーが高くてどんどん使いこなしている人もいます。 ベテラン人材の場合は、もともと建設業の仕事や図面に対するリテラシーが高いです。それが使いこなしていく大きな背景になっているのではないでしょうか。 現場全体としては、DX推進はまだまだ過渡期で、それぞれが試行錯誤しています。引き出すことのできるSPIDERPLUSの能力がまだまだあります。ただし導入以前に比べると、物事は遥かに改善しているし、さらに使いこなしていくことによって現場をもっと良くしていけるはずです。組織として浸透させていき、徐々に改善していくことを考えています。

・スパイダープラス社に対してどんな印象をお持ちですか。
T:スパイダープラスは保温断熱工事業からスタートした会社ですね。「同業」というイメージを持っています。現場の職人だった人が作った会社で、我々とは同じ目線で関係性を育てていくことのできる人たちです。SPIDERPLUSというサービスをブラッシュアップしていくにも、そうした姿勢に負うところは大きいと見ていますし、そういうところを見習いたいと思っているぐらいなんですよ。

・設備業の目線から、現場DXの可能性についてどうお考えですか。
T:設備業は専門性の高いテクニカルなことを進めていきます。例えば電気ならば実際の電気設備で物事が機能するかに直面しますし、能力値や機能の結果を精緻に図って判定していく役割を負っています。専門的で細かいことを担っていく分、検査の省力化・効率化への課題意識も強いです。 SPIDERPLUSのオプション機能だと、例えば風量測定や圧力測定はIoTにより、検査記録や判定をスマートに進めることができますね。現場で今後置き換えていくことを見込んで協議を進めています。
SPIDERPLUSの機能を活用しながら現場から事務所に戻ったあとの作業を時短するために、クラウドを介して内勤者と作業を分け合うことで全体の生産性を向上させることも対策になると考えています。 コロナ禍では、打ち合わせをオンラインで行なうなど、リモートワークも進みました。現場の状況を把握するという点では、例えば将来的にドローンとの連携することができるようになれば、どこにいても「見る」ことができるようになるし、さらに可能性が拡がるのではないでしょうか。