検査の事前準備にBPOサービスを組み合わせて、マンション工事を効率化

マンションから寺社まで豊富な施工実績を持つ池田建設では2023年の月間平均残業時間は18時間。
現場でのSPIDERPLUS活用に加えて、BPOサービスも組み合わせてDXへの取り組み真っ只中の現場にお邪魔して、率直にお話していただきました。
お話
建築部 白石渉 様
現場事情に沿った柔軟な写真整理で仕事がもっとラクに!
本日は現場の進行中にお時間をいただき、ありがとうございます。
白石様の役割について簡単に教えていただけますか。

私は若手社員の報告内容を元に工事の進行を把握したり、職人さんからお客様まで、工事で関係する様々な人達と折衝したりしながら工事全体を管理しています。
現場での典型的なSPIDERPLUS活用についてお聞かせください。

以前から現場では写真をたくさん撮影していて、その整理に忙殺されがちなことは課題の1つでした。
工事ではたくさんの関係者と確認や打ち合わせを行いますが、SPIDERPLUSがないと紙の図面を元に説明資料を作って、さらに写真台帳をまとめてそこにデジタルカメラから吸い出した画像データを手作業で貼っていきます。
さらに現地での資料作成、と3段階の作業が必要でした。
SPIDERPLUSの場合、あらかじめフォルダを構成しておけば、現場で写真撮影をする段階で整理が終わっています。
躯体工事1サイクルあたりでは、写真をまとめる作業だけでも1フロアで1日3時間ほどの作業を4日間しなくてはいけなかったのが、整理済みのフォルダから画像を入れ替えるだけになったので、作業の手間が3分の1に縮小しています。
私自身はSPIDERPLUS導入以前に、写真整理のツールを活用した経験がありました。
その感覚があったため、操作にはすぐに慣れました。
普段現場で使う若手社員たちを見ていても、すぐに順応しているという印象があります。
SPIDERPLUS導入当初のメリットは写真に関わるところを中心に感じられたのですね。

SPIDERPLUSでは図面上に写真が紐づくため、どこを撮ったかを明確に把握できます。
写真の整理についてもSPIDERPLUSは、撮影後にフォルダから画像を取り出して使う時に探しやすいと感じています。
現在の工事では、フォルダから画像をすぐに探して、お客様や設計との打ち合わせで地中障害や寸法確認をする際に役立てています。
時間削減など、確かな効果の一方で、新たに現場で課題と感じたことはありましたか。

SPIDERPLUSの使い方について、何度か講習を受けていたのですが、その際に配筋写真や検査の際の黒板作成代行など、BPOサービスで事前準備を代行してもらえることを知りました。
導入後のサポート対応や現場での操作説明など、コミュニケーションを通じて信頼があったので、ぜひ活用したいと思いました。
黒板の事前準備から検査の事前準備まで。BPOサービス活用でさらなる効率化
黒板作成代行と、仕上検査の事前準備でBPOサービスのご活用が始まりましたね。

仕上検査の準備についてもう少し詳しくお聞かせください。

まずは社内で私自身と現場所長とで行う自主検査、社内の設備担当や駆体担当など、工事の担当分野ごとに行われる社内検査、設計検査、消防などの行政検査、そして瑕疵担保保険検査、お客様の検査など多岐にわたります。
仕上検査の検査分類ごとに見るところや指摘箇所も当然異なってきます。
BPOサービスを活用する前はその異なる検査のための準備を自分たちで行わなくてはならなかったため、ひたすら時間が必要でした。
検査種別に向けた準備と仰ると、どのようなことを行っていましたか。

実際のマンションの1フロアには複数の部屋タイプがあります。
そこから検査をする個別の部屋ごとに見るべき内容の準備をしていきます。
ここで使う元の図面には部屋の様々な箇所に寸法が書き込まれていたり、ありとあらゆる箇所に様々な文言があるのですが、それらを消していき、最終的には皆さんが不動産屋さんで見るような「間取り図のような状態」までにシンプル化していきます。
駆体でつながっている箇所も図面上では解除した上で行うので、部屋1つだけでも時間が足りません。
BPOサービスでの仕上検査準備代行を活用することで、どのようなメリットがありますか。

検査の種別ごと、検査する人ごとに、図面上に残しておいてほしい情報は異なります。
これまで事前準備に忙殺されていた時間をコミュニケーションに割くことができるようになり、どんなことを見たいのかをより詳しく把握できるようになりました。
あとはそこで聞き取ったことをBPOサービスにお願いするだけです。
今では余裕をもって仕上検査期間でも帰宅して、自炊までできるようになっています。
マンション工事特有の段取りの重要性とデジタルツール活用の意義
お話を伺っていると、SPIDERPLUSとBPOサービスの活用で、単に時間を削減できているだけではなく、コミュニケーションなど、工事をする上でより本質的なものに対して時間を割くことになったのですね。

従来手間どっていた作業から開放されたことで、工事の先の段取りができるようになりました。
例えば1Fの躯体工事段階で他のフロアの駆体の話や既存フロアの仕上げの話をしたり、照明の位置、扉をつける向きなど、細かいことをあげればキリがないですが、そうした内容について打ち合わせをしたり準備できるようになっています。
現場では仮設の揚重機材などの段取りも重要です。
SPIDERPLUSの導入前であれば、現場にいる時間のかなりの部分は写真を撮るため、という状態でした。
現在では、図面や工程表の作成ができるようになりました。
また、設計やお客様への質疑をあげるのに時間を使えるようにもなっています。
SPIDERPLUS内の図面上にある画像などを活用して、職人さんから提案があった際も、同じものを見ながら明確な意思疎通を行うことが可能です。
マンション工事では段取りを組むことも細かく、多岐にわたるのではないでしょうか。

ファミリー向け物件なのか、高齢の方に特化した物件なのか、住む方の属性の違いによって例えばドアノブの位置やトイレットペーパーホルダーの高さなどが違ってきます。
それらは一人でどうにか気づいて進めていくには実際には難しいことが色々あります。
デジタルツールの活用やBPOサービスの活用によって、限りある時間を住む方たちが快適に暮らしていくことにできるための段取りや、工事関係者とのコミュニケーションに割く割合を増やし、より質の高い工事をすることに繋げていくことができると思います。