360°カメラとSPIDERPLUSを組み合わせて施工前後の情報連携の質が向上

Armacell Japan(アーマセルジャパン)は、断熱材「ArmaFlex(アーマフレックス)」を用いた保温断熱のプロ集団です。
実はスパイダープラスが建設DX事業を始める前の「保温断熱工事業」の事業部門でもありました。
社員のエンゲージメント向上から仕事を通じた自己実現に至るまで、DXの価値について広くお話をお聞きしました。
お話
Armacell Japan株式会社エンジニアリング事業部 執行役員 兼 事業部長
酒寄 直人 様
本日はお時間を割いてくださり、ありがとうございます。普段の役割について教えて下さい。

私は工事部で部長をしていてお客様に対する営業や、受注した後の現場の管理、チームのマネジメントをしています。
月に1度、部門の会議があり、SPIDERPLUSを用いて施工内容の報告や、これから予定している工事やその現場について報告をしてもらっています。
SPIDERPLUSに360°コンテンツを組み合わせて「その場にいるように」現場状況を把握
ところで、SPIDERPLUSに、360°カメラRICOH THETAを組み合わせて活用しているとお聞きしましたが、どのような課題があったのでしょうか。

ただし、通常の静止画では、見られる角度に限りがあります。
ものを作る人間の視点から助言をするためにはもう少し情報が多くないと難しいことが少なくないのです。
例えば、撮影箇所の背景がどのようになっているのかを把握したり、任意の箇所に視点を移したりと、広範囲に見ることができれば、現場の状況をさらに具体的に把握することができます。
RICOH THETAは操作も簡単ですし、2017年からはSPIDERPLUSとの連携が始まりましたね。
360°画像を共有できれば自分がそこにいるかのように見ることができるし、それに伴ってより具体的な状況把握にもとづいて、掘り下げた助言が可能になると考えました。
THETAの360°画像を活用することでどのようなことが改善されましたか。

中でもフィードフォーワードを技術の継承という点でとても重視しています。
作業予定箇所とその周辺の様子が360°把握できることで、その周辺が散らかった状態であればもう少し時間にゆとりをもって作業に当たることができる、反対に作業箇所周辺がスッキリしていれば施工を急いだほうが良さそう、などの判断が可能です。
私自身は20数年以上の施工経験があります。
新しい社員も増えていますが、今は経験が浅くとも、いずれは工事の順番なども含めて、自分で考えて施工できるようになってほしいと考えています。
フィードバックについても、単に「キレイにできたね」と言うだけではなく、自分自身がその場に立っているかのように工事の周辺や背景を理解し、把握することによってより具体的な状況に即して何がどう良かったのかを話すことができるようになります。
360°コンテンツイメージ
現場常駐の仕事特有の課題とデジタル活用によるエンゲージメント向上
現在の主なSPIDERPLUSとTHETAを組み合わせた活用方法について教えて下さい。

私はそれを見て月曜の朝に助言をするサイクルを確立しています。
我々のような仕事は現場に常駐して直行直帰が大半です。
そうすると帰属意識が希薄になりがちです。
仕事内容を具体的に把握した上で助言をすることは、お互いの意識づくりにも重要だと考えています。
フィードバックを受ける社員の立場で考えてみると、「自分の仕事を見てくれているんだな」と実感することができますし、仕事に対するモチベーションの向上にもなります。
実はこのサイクルのおかげか、2022年以降の離職率はゼロなのです。
デジタル活用によって、コミュニケーションの質が向上して、社員エンゲージメントの改善にもなっているのですね。

現場では追い立てられるように働くのではなく、ゆとりを持ちながら楽しく仕事をすることが重要だと考えています。
生産性を高めることは必要なことです。
ただし、8時間を全て働き通しのように過ごすのではなく、通常業務を早めに切り上げて雑談できる時間が生まれるようにします。
気分やモチベーションによっても生産性は変わってくるはずです。
デジタル活用によって仕事の時間全体がより質の高いものになることが、生産性の向上だと考えています。
DXによって事前に現場の情報をインプットできれば、その後の仕事やコミュニケーションの質をさらに高めることができる
改めて、専門工事の現場でもDXは必要だと考えますか。

紙ベースで仕事をしていた頃を思い返してみると、現場の巡回をするだけでも2時間かかります。
現在はSPIDERPLUSやTHETAの360°コンテンツを活用することにより、事前に現場の情報をインプットすることが出来ます。
先ほども触れましたが、例えば施工予定箇所の周辺が事前にわかることで現場での動き方や工事全体の進行状況と照らし合わせた調整など、実際に現場に行く際はそうしたより具体的なことを意識して巡回し、そこで得た情報をもとに工事の関係者や同じ部門の人たちとのコミュニケーションをさらに質の高いものにしていくことができます。
今後目指したいことについて教えて下さい。

仕事とはどんなものだろうかと考えてみると、少々極論めいて聞こえるかもしれませんが、困ってる人を助けてお礼(お金)をもらうことが仕事の原始的な姿だと思うのです。
仕事をすることで自己実現が成り立ち、ミッションやビジョンにより強く共感してそこに気持ちが向くようになります。単に生計を立てるために働くこととの違いはこうした点にあると思います。
Armacell(アーマセル)では Making a difference around the worldというスローガンを掲げています。
こうした考えがどのようにして浸透していくかを考えてみると、現場での雑談も紐づくものがありますし、その中で企業文化も育まれていき、積み重ねの末には社会貢献があるはずです。
時間やコミュニケーションの質を向上させるためのデジタル活用を積み重ねて、よい循環を育てていきたいと考えています。