建設業のIT導入による業務効率化に関するアンケート調査 -建設業になぜITが必要なのか-
- 業界市場動向
こんにちは、広報担当のウエダです。
最近、建設業向けの新聞や、情報誌で「IT」についての記事が多くなってきました。
当社は皆様ご存知のとおり、建設業向けアプリケーションを開発・販売しておりますが、それでも驚き。
本日は、「建設業になぜITが必要なのか」「どれくらいの建設企業がITを導入しているのか」などについて、アンケート調査結果を交えてお伝えします。
目次
建設業界の今
人材不足
(図1-1)は、日本建設業連合会の建設投資額と技能労働者数推移を示したものです。
また、 (図1-2)は国交省の技能労働者等の推移を示したものです。
現場管理に従事する技術者に的を絞ると、バブル直後のH9年の41万人からH27年の32万人へと2割強が減少しているのがわかります。
年齢ごとの就業者割合の推移
(図2)は国交省が算出した建設業就業者の高齢化の進行を表したものです。
建設業就業者は55歳以上の割合が約34%、29歳以下の割合が約11%と高齢化が進行、そして今後団塊世代の大量離職等により、次世代への技術承継が大きな課題となっていることがわかります。
労働時間 (図3)実労働時間及び出勤日数の推移
-建設業と他産業の比較-
(図3)は国交省が作成した、建設業と他産業の年間の実労働時間と出勤日数の推移を比較したものです。
年間総実労働時間は製造業と比較して105時間多く、年間出勤日数も17日の過多であることがわかります。
労働時間 (図4)建設業における休日の状況
ここで、休日について以下をご覧ください。
(図4)から建設業の休日状況は、4週4休が52.8%、4週4休未満が11.2%となっており、約60%以上 の方が4週4休以下で就業している状況です。
日本建設業連合会(日建連)が、施工現場を2022年3月期までに週休2日制に移行する方針を固め、大手ゼネコン各社でも週休2日の推進が広がりを見せていますが、現状からはまだまだ乖離が見られます。
まとめ
・東京オリンピックまで&東京オリンピック後も建設市場の需要は増加し、業界の景気も良いことが予想されます。
・一方、既存社員の高齢化、団塊の世代が退職する中、その分の新入社員などの若手が確保できず従業員数は減少する一方。
・若手などの新規入職者が少なくなっている要因の一つとして、労働時間が長く、休日が少ないことがあげられています。
上記より、建設業は若者にとって魅力ある建設業を目指し、処遇改善を中心として担い手確保・育成対策の更なる強化を図るとともに、新技術・新工法の活用、人材の効率的な活用等、 建設生産システムの生産性の向上を図り、将来の担い手確保に注力する必要があります。
では、実際に「どれくらいの建設企業がITを導入しているのか」、また、これらの問題を少しでも解消させるための手法である「ITによる業務効率化」の実例をアンケートと共にご紹介します。
モバイルの導入率
回答した33社中、すでに企業として導入しているのが24社(73%)という結果についてその内従業員数が200名以上の企業に於ける導入率が80%を超えています。
それに対し、200名未満の従業員数の企業導入率は50%という結果で、企業の規模による対応に違いが見られます。
導入端末のキャリア
圧倒的にiOSが多い要因として、セキュリティの強さが伺えます。iOSの場合、ユーザーがアプリケーションを入手する先はApple公式の「Appストア」に限られます。
そのため、iOSでインストールを行うアプリケーションはAppストアによる厳しい審査を通過しています。
もちろん、セキュリティ面での審査も行われているため、セキュリティ上のリスクを含むアプリケーションをインストールしなくて済むといったところで導入効果が見込まれています。
端末の配布条件
このグラフから、スマートフォンよりもタブレットの導入が多く見受けられます。 これは、「画面の大きさから操作がしやすい」との声が多くあげられています。
スマートフォン、タブレットの活用事例
「その他」では、「電子ワークフローにおける承認行為等」や「リモートデスクトップ機能によるiPadから自席パソコンの操作」があげられました。
実際に具体的な活用事例の調査結果を見ても、社内メールの閲覧やインターネットでの検索の他、現場での打合せや図面の共有、写真の撮影・整理等があげられており、Wi-Fi通信を利用した通信コストの削減や端末の価格、セキュリティ対策費用等の低減により導入企業は今後も増加傾向にあると思われます。
IT導入効果について・効果のあった事例
既に導入している企業23社の内、21社(91%)の企業では「効果あり」と回答されました。
その理由として、「事務所や現場との移動時間の短縮」が主にあげられ、「効果なし」と答えた企業は「使いこなせていない」という理由があげられました。
ITを導入した理由
「その他」では、「モバイル内線電話として使用するため」や「現場のICT化への備え」があげられました。現場等で働く従業員からの自発的な動機付けによるものと推察できるます。
ITを導入しない理由
「その他」では、「ゼネコンからの貸与」や「地域的な取組意識の遅れ」とあげられました。
コストとセキュリティを理由に挙げている企業よりも、「必要と考えていない」という企業が上回っていることから、モバイル端末等の導入による費用対効果等に対する懐疑的な考えが見受けられます。
ITを導入する際の留意点
「その他」では、「ウイルス対策」や「配布対象者の選定」があげられました。 セキュリティ強化をあげた企業が全体の80%に達しており、通信を主とするITに対して身長な姿勢が感じられました。
まとめ
ITの導入を進める際には、先人の知識を活用し、「セキュリティ」のしっかりしたツールを選定することが重要と言えます。
当然、建設業にとってセキュリティが確保されていることは重要であるため、既に多くの建設業が導入しているかどうかを確認することで、そのツールのセキュリティ力を測るための材料となります。
また、導入してITを使いこなしていく必要があるため「社内説明会(集合教育)の実施」をしていくことで、効率的に業務効率化に発展していく傾向があげられます。 導入企業の説明会に積極的に協力してくれるIT企業を選定することも、導入するにあたりとても大切な点です。
ITを活用して、業務効率化だけでなく経営効率化も考えてみてはいかがでしょうか(^^♪