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使いこむほど「自分たち仕様」に〜創業100年を迎える建設会社がDXを推進する背景〜

札幌を本拠地とする岩田地崎建設様は2022年4月をもって創業100年を迎え、北海道内はもとより、本州や、海外でも豊富な施工実績をお持ちです。本社を訪ねてICT導入のきっかけから今後目指すデジタル活用による業務効率化の構想まで、お話を伺いました。

お話:画像左側より
宮森心 様(建築部工事課主任 )
東剛宏 様(建築部次長 )
藤井南帆 様(建築部工事課)

※インタビューはマスクを着用して行なわれました。写真撮影時のみマスクを外しています。

―はじめに皆様の役割をかんたんに教えて下さい。

東様(以下A):本店建築部の管理部門で建築部次長をやっています。現場を統括管理をする立場です。昨年の3月までは作業所長として勤務していました。

宮森様(以下M):入社8年目で、現場で安全管理や施工管理を行なっています。

藤井様(以下F):現場で係員として安全管理や施工管理を担当しています。入社6年目で最近は仕上検査などの経験も増えてきました。

工事の事情が決定づけたペーパーレス化

―岩田地崎建設様がSPIDERPLUSを導入したのは2018年でしたが、その頃既に会社としてデジタル活用は行なわれていたのでしょうか。

A:その頃は既に作業項目に特化して使っていたツールやサービスが複数ありました。私たちはニセコの開発のような大規模な工事に携わることもあるのですが、そのぐらいの規模の現場で、工事を効率よく進めるには、紙の図面を職員同士や業者間でやりとりしているようでは状況確認がとても追いつきません。常に最新の図面を関係者が共有して工事を進めていかなくてはならないのです。こうした現場の事情から、情報共有を効率よく行なうことが必須でした。そこにペーパーレスがついてきたと言いましょうか。会社の上層もデジタル化やペーパーレス化について課題意識が強かったのです。
iPhoneやiPadの支給が済んで、社内にICT推進部も設置され、ファイルの共有をクラウドでしていく体制をつくってありました。

―では、工事そのものの事情からデジタル推進の素地があったところにSPIDERPLUSが加わったのですね。

A:そうですね。実は最初は現場ごとに任意の使用にしてありました。目的ごとに複数のツールがあったので見るところが多岐にわたると大変になってしまうと思っていたからです。現在は中規模以上の現場では全てSPIDERPLUSを導入しています。

大規模マンション現場の効率化に欠かせない機能

―SPIDERPLUSに関するお問い合わせでは現場で知った、という声が大変多いのですが、皆様も現場で声をかけられることはありますか?

F:あります。出入りしている現場でも「いいもの持ってるね、ラクそうだね。」と声をかけられることがあります。あと、実は最初にSPIDERPLUSを知ったきっかけは現場の設備業の監督が使っているのを見たことでした。

―ラク、というポイントはどんなところにあると感じていますか?

F:私は現在、SPIDERPLUSをマンション建設の現場で使っています。全部合わせて400戸の規模なのですが、仕上検査で大きな効果をあげています。

―400戸というのはちょっとした街づくりにも匹敵しそうな規模ですね!

M:仕上検査それ自体は1部屋あたり20分で終えることができます。ただその分戸数が多いですし、マンションの1部屋は出入りする業者の数が多岐にわたるため、SPIDERPLUSなしだと検査を終えてからの仕分け作業を3人がかりでやってもあっという間に21時を過ぎていました。

F:SPIDERPLUSの仕上検査機能だと、チェックした項目をボタン1つでEXCELファイルに生成できますし、そこからの業者ごとに仕分ける作業もファイルをソートするだけなので手軽です。以前のように3人がかりでやる必要がなくなり、その分かけていた手間と人力と時間を他のことに投入することが出来るようになっています。

仕上検査機能(オプション)で検査後の指摘項目の仕分けがラク、3人がかりの作業が1人でもOKに

M:あと指摘事項の登録も、よくあるものだと選択するだけなのでラクです。たまにしかないレアケースだと、入力する手間は発生しますが、全てを紙で行なうのに比べたらずっとラクだと思っています。

ーでは、SPIDERPLUSの持つ機能によって、作業1つとっても削減できる段取りや手間が色々あって、それが「ラク」さにつながっているということですね。

A:ほかにも支店によってはクラウドで情報共有をしながら作業を分け合って、少人数で進めることにも役立てています。リアルタイムに近い形で管理が出来ると手戻りの発生を防ぐこともできます。

DX推進に必須のコミュニケーション

―会社全体として浸透させていくためには、どんな取り組みを行なっていますか。

A:導入してみたらさほど苦労しませんでした。当初は、若手についてはあまり心配はしていませんでした。特にベテラン勢には慣れた仕事の仕方があるので大丈夫かなとも思ったのです。ただ、実際使い始めたらラクになったと感じてくれました。そうするとあとは、仕事を進めていくのに「なくてはならないツール」になっていくんですね。当初は紙がイチバンと話していた人でも1年もしたらSPIDERPLUSを使うようになっていました。

M:説明会に来てもらったのですが、最初は慣れないこともあって、操作が少し大変でした。ただ、使っていくうちに、特に帳票をまとめるのがとてもラクだということに気づきました。

F:使いこんでいくと、段々SPIDERPLUSが「自分たち仕様」になってくると思っています。使うことに慣れていくと現場の状況をアプリの中で反映させていくことが出来ますし、機能に慣れていくと作業そのものを効率よくしていくことに繋がります。

使い込んでいくと「SPIDERPLUS」が自分たち仕様になる、と語る藤井様

A:最初の頃は現場ごとにデジタル活用もそれぞれ現場責任者の方針によってマチマチでした。あまり活用されないところもあったのです。現場ごとにヒアリングをしていって状況を把握して、コミュニケーションを重ねていくことで均等に浸透させていっています。

―現場のお二人は不明な点があったときはどんな風に解決しますか?

F:マニュアルを見ることが多いです。あとはとにかく使ってみてどんどん覚えていっています。

M:現場管理の仕事はそれぞれ担当している場所が違います。同期入社どうしはお互いの現場のことなど、日頃の情報交換をさかんに行なっています。何気ないコミュニケーションから資材の調達などにも繋がったこともあるんですよ。

A:そういう何気ないコミュニケーションも、浸透に効果を発揮していくんですよね。あと、工期によってチームのシャッフルもあって、そこから先進的な現場にいる人と、そうではない人との情報が行き渡りやすくなるという文化があります。

ー素晴らしいですね。現場同士のやりとりもまた、デジタル浸透に寄与しているということですね。ところで24年4月を見据えて何か取り組んでいることはありますか。

A:労働時間が管理されている、という意識は広がってきたように思っています。2024年に施行される働き方改革関連法への対応については模索中です。作業の内容によっては外部委託を利用して、1人あたりの作業量を減らす取り組みも行なっています。
図面のチェックも、現場監督は現場で次から次と起こることに対処しながら行なっていましたが、図面チェックを専門で行なう人、というのを作るようにしました。もちろん現場の知識はオールマイティに身につけることが大切ですが。
あと、現場で一番時間を使うのは移動です。現場そのものを見ることはとても重要なのですが、移動の手間を省くために管理用のカメラを導入しています。若手職員が見ただけでは解決しないものでも、映像素材をやりとりしながら指示を仰げば主任や所長陣の時間削減になります。行かなくても会話をすることはできますし、管理の面でも出来ることがあるはずです。現場を生で見ること自体は重要なのですが、遠隔で出来ることは技術の投入によって遠隔で進めていくことにより、全体的な生産性の向上を図っていきたいと考えています。

ーありがとうございました。